ウィッツのつぶやき Vol.1160

2020年04月22日

「古い石積みだったから決壊した」と言われているとすれば、それは土木工事の基本に対する大きな理解不足だというしかありません。 土木工事の土砂止めという観点から、利用されている物理の原理を上げれば、重力加速度と摩擦力、それと粘着力という事になります。 コンクリートにしろ土塊にしろ重力に順応して色んな力が発揮されます。 滑るのを止める力は摩擦力や土同士がくっつこうとする粘着力になります。 今空石積みについてみると石同士の摩擦力が法面を止める力として考えられますが、止める法面が粘性土で自立していれば、表面浸食を防止する保護工としての役割が考えられます。 次にどちらかと言うと放っておいたら自然に崩れてくるようなさらさらした土質だったら、どうでしょう。 これは積んだ石同士の摩擦力が崩れてくる力を押さえつけながら表面を保護していると言えるでしょう。 ここで発揮されるのは土の粘着力と土粒子間の摩擦力という事になります。 それを空石積みで押さえるという事になりますが、降雨時に地下水位が高くなり背面土が流動化し始めると、積んだ空石同士が摩擦力を発揮して流動化している土を押さえるという力が働くことになります。 これは一つ一つの石が個性を発揮して面として可撓性(かとうせい)を持ってフレキシブルに働くという事になります。 これがコンクリートで固めた一枚の板になってしまうと、夫々の摩擦力ではなく一体の重力で押さえることになります。 ですから法面の高さが高くなると、流動化した土で大きなモーメントが働き、ひっくり返る可能性が出てくるのです。 その点空石積みでは一つ一つの石が動いても、摩擦力で抵抗しますから、動きながらでも耐える所までは耐え切るという事になります。 少々変形しても崩れなければそれで良い訳で、今にも崩れそうな形になりながらも安定して崩れずに何百年も経過した空石積みもあります。 これを間違えてコンクリートで固めて一枚の板にしてしまうと耐え切れなくなった時一気に崩れてしまうという事になるのです。 どの様なものでもそうですが、使い方次第で有効にも害にもなるのです。 コンクリートはその使う場所を間違えなければ非常に有効に効力を発揮しますが、一つ間違えると、とんでもないことになってしまうのですが、現代に生きる人達はコンクリートを有難がってどこに使っても良いような感覚に陥っているのです。 大きな考え違いなのですが、そこらが判らないのですね。 素人だけでなく専門家と言われる人達の間でもこの傾向はみられます。 これが昨今の大きな被害をもたらしている訳ですが、何故大きな被害になるのかは止める力が大きくなっているからに他なりません。 大きな構造物であればある程、崩壊した時の被害はとんでもなく大きくなります。 ところが大きな構造物は奇妙な安心感を人々に与えるようです。 実は大間違いなのですが、それが何故か理解されないのです。 まあ、他人様のことなので別に関係ない事かも知れませんが、最後には命がかかってきますからねぇ。 一度立ち止まって考えることも必要かもしれませんね。


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